ここ最近、本屋の良いところに置いてあった本 「海が見える家」著者:はらだみずき
こんにちは。ベルピピです。
年度末に向けて営業成績を伸ばすべく、せかせかと忙しく数字を積み上げていました。
そんな折、ふと、何のために頑張っているんだろう?と思うことがよくあります。
皆さんはどうでしょうか?
若い時はがむしゃらに動くことで打ち消してきたそんな、人生の根本を揺るがせる問い。
最近はパッと打ち消せずに考えている時間が増えた気がします。
そんな僕にひと時の休息と人生の生きる意味を考える時間をくれた本。
本屋さんに行くたびに良いポジションに置いてあり、面白いんだろうなと思っていた
「海が見える家」を読んだ感想を書きたいと思います。
父親の訃報を聞き館山に向かうまで 以下ネタバレあります!
社会人になりたての主人公が会社を辞めるところから始まり、次のページで疎遠になっていた父親が亡くなったという連絡が入ります。
小学生の頃に両親が離婚し、上手く回らなくなっていった父と姉との3人生活。
高校時代のちょっとしたことがきっかけで起きた決定的な父親との確執。
仕事を辞めた後悔の念と、父親が自ら死を選んだのではないかという疑念、
どうしてこうなってしまったのかという気持ちが入り混じり、暗い雰囲気が漂います。
明るい兆しは向かう先が館山っていうところだけ。
早期退職した父が移住していた南房総の海が見える家に向かいます。
疎遠になっていた父の足跡を辿り、生きていく、食っていくとはどういうことか考える
父親の知らなかった面を、発見しながら、親子として大事なものを回収していくヒューマンストーリー的な面もすごく素敵で感動的でした。
しかし、今の僕にどうしようもなく響いたのは文哉が「食っていく」とはどういうことかを自然に触れながら考えていく、今までの常識を自然に触れながら打ち消していく姿でした。
都会のサラリーマン暮らしと比べて田舎の平均収入は恐ろしく低い。
農家や漁師などの一次産業に従事している人も多く、安定的な生活は難しい。
ただ縛られない自由な時間がある。
時間があればお金がなくても海で食料をとって食っていくことができる。
雑草としか思っていなかった草が実はおいしかったことを知る。
ある時、お金がなくても十分、食っていけていることに気づく。
周りに流されて持っていた常識のちっぽけさを知り、生きるとは何か自分の経験から、自分の言葉で答えを見つけていく。
文哉が「自立」していく姿が言動から読み取っていくことができる。
生きることをシンプルに「食うこと」と捉え、時間を自由に自分のために思う存分使う姿は眩しくて、羨ましくもありました。
読書の醍醐味の「疑似体験」としてはかなりリアル
ロケーションが館山市っていうのもあるかもしれませんが、仕事を辞めて移住する先する感じもなんかすごくリアルでした。
僕も新入社員の時に仕事が辛くて、九十九里とか、熱海とか、南知多とかの求人情報を見てみたり、マンションの値段をチェックしたりと、現実逃避をしていたことを思い出します。
これこそ人生の別ルート。あの時、思い立っていたら僕も文哉みたいになっていたかもしれません。
また、作家さんの文章力がさすがで、海の波、夕日、山の草木などの、自然の描写がきれいで本当にそこに立っているような感覚すらありました。食べモノも本当にお腹がすくくらいリアルに感じます。
自然と館山に移住した自分の姿が浮かんできて、深夜の自室で海を感じることができました。
文哉に自分の姿を重ねながら、生きる意味について、僕なりの答えを探ります。
疑似体験の館山移住で学んだ「自由に生きる」という事
サラリーマンとしての僕は、会社内の常識、会社内での自分の立ち位置、ノルマ、昇進のための競争、社外との競争、プライド、意地、できる人間と思われたい、できる人間と思っていたい、などなど恐ろしい数の葛藤に苦しみながら、生きています。
昇格して給料上げて、自分の発言力をあげて、もっともっと自由に楽しく仕事がしたいと考えていました。何のために頑張っているかという問いは忙しさで紛らわし、気づかないふりをしてきました。
文哉の生き方は、流行りのFIRE(セミリタイア)の「お金を極力使わない仙人スタイル」だと思います。自分の時間を十分持てるところは理想ですが、お金を使わない点は僕には現実的ではありません。
後半は、文哉に惹かれた「自由」と現実の自分理想の折衷案を考えながらの読書となりました。移動時間も自分なりの答えを探します。
仕事での無駄な苦しみ、特に他人次第で自己完結できないところは無理を辞め、自分の自由に使える時間の捻出から始めようと決めました。とりあえず今はココからです。明確な答えはいつかでるのかしら・・・
夏は家族で海でキャンプをしよう!それは確定!
続編の「それから」と「逆風」も続けざまに読みましたが、文哉がどんどん凛々しくなっていき、少し僕自身とは離れた存在になってしまいました。仲間もたくさん増えてきて、まだまだ話が広がりそうです。次回作も楽しみです。以上。
コメント