【少し懐かしい本紹介】吉本ばなな「とかげ」を再読したきっかけと感想

お勧めの本紹介
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このページでは少し懐かしい20年程前に発行された本を読み返した感想と、

読み返そうと思ったきっかけを紹介します。

爬虫類顔が好みなの?から思い出した懐かしい小説

最近気に入ってみている料理を作るYouTubeを奥さんに紹介したところ、

返ってきた言葉がこれだった。かわいいなと思っていたことは伏せていたので、

内面をサラッと言い当てられて恥ずかしかった。

嫉妬ですかと茶化して会話は終了したけど、藪蛇だったと悔やまれる。

 

それはいいとして、

爬虫類顔から何となく暗いイメージが心に浮かんできて、不思議だった。

爬虫類顔の女性=悲しいイメージがどこからきているか思い出せずにモヤモヤする。

主導権のない恋の悲しいイメージ。

あまり可愛くないけど魅力的な爬虫類顔の年上の女性。

 

僕は思い出した言葉とイメージが紐づかなくて引っかかることはよくあって、

多くの場合、昔読んだ本が原因になっている。今回もそう。

■「とかげ」作者:吉本ばなな

題名そのまま!爬虫類顔の女性が出てくる話!

よしもとばななでは珍しい男性目線の作品で、

主人公が好意を寄せる女性を「とかげ」と呼んでいる点が印象的な作品だった。

 

当時の僕にとっては大人な恋愛で、幸が薄い「とかげ」の見た目と行動のギャップが可愛らしく

描いてあって、何となく最後はハッピーエンドだったと虚ろな記憶がよみがえる。

 

彼女がなかなかできなかった大学時代、

こじらしていた時の読書は印象的だったようでふとしたきっかけで思い出す。

10年ぶりに読み返してみた感想(一部ネタバレします)

「とかげ」は6篇の短いストーリーの2つ目のお話でした。

精神科医の男性視点で、自分と「とかげ」の恋愛を俯瞰的に書いている。

俯瞰的だけど冷たいわけではなくて、「とかげ」に対する恋心もしっかりと

伝わってくる。男性目線だけどやはり、女性が書いた文章らしい。

「とかげ」を大事に思っていることが、感情の吐露だけじゃなくて、

彼の仕草からもしっかりと伝わってくる。こんな風に想われる女性は幸せだろう。

「とかげ」もこういう人だからこの話のキーになる悲しい過去を話せたんだと思う。

「精神科医で少しドライに物事を考える主人公でも、恋では子供みたいな不安を抱くのか…」

と10年前の僕のメモが30歳を超えた今、当時の気持ちを瑞々しくよみがえらせた。

そうだよ、大人も恋愛だと意外と子供のままなんだ。

当時の僕はまだ知らない幻想的な世界。猶更、魅力的だったんだろうな。

登場人物はほぼ2人「とかげ」と彼女に恋する男性

「とかげ」は超能力ほどではないが、

人の体の悪いところを見つけて治す特殊な力を持った女性で、

子供のころの悲しいトラウマがある。

プロポーズした彼に対してある秘密を打ち明ける。

 

「とかげ」に恋する男性は精神科医で、

理由は最後に分かるのだけど、ドライな印象。

少し世の中を諦めているような悲しい雰囲気がある。

この男性目線で物語は語られる。

 

30歳一児のパパになって読んだ気持ちの変化点

「とかげ」は5歳の時に人の無慈悲な悪の部分を、

目の当たりにしてしまい目が見えなくなる。

 

僕も含めて日本では平和に過ごしている人が多いと思うけど、

道理や常識が通じない事件は毎日どこかで起きている。

しっかり目を向けるのがきついから目を背けているだけなんだ。

そのことを突き付けられるような内容のこと。

 

大人になって、特に結婚してパパになって、

彼らが体験したトラウマ(家族を傷つけられる)

のきつさを当時より切に理解することができるようになった。

正直、生きていくことだけでも辛いような体験をした2人。

 

それでもなお、人を助ける仕事をしている彼ら。

ほかの子供たちの幸せを祈ることができる優しさに感動し、

そうなるまでの過程に思いをはせて、切なくなった。

最後に眠る「とかげ」の横で男性が自分たちの

子供時代のために数分間泣く、ところで話は終わる。

 

十分すぎるほどつらい経験をした「とかげ」たちに

幸せになってほしいと願い、

 

トラウマを分かち合って、一緒に生きていくことを決めて、

これから幸せに向かって進んでいくことが、

ラストで読み取ることができて、温かい気持ちで読み終えることができた。

 

現実の自分の女性の好みにも若干影響がある気がする本でした。

あと、昔の本のブックマークとメモは要注意。素の感情すぎて恥ずかしい。

これからは本を貸す前にチェックしようと思いました。以上

 

 

 

 

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